コンピュータリソースを オンプレミスからクラウドに移す流れの中で、従来、ローカル接続していたハードウェア(周辺機器)の一部も仮想化、実体をクラウドに置くようになった。
クラウドはコンピュータを仮想化して提供している。画面で構成を指定すればコンピュータが起動する。停止も画面から行う。クラウドのネットワーク構築も画面上でマウス/キーボードで行える。コンピュータ設置、OSインストール、ネットワーク設定、スイッチ、ルータの設置、ケーブル接続する作業をしたことがあれば、この仮想化がどれだけ便利か実感できる。
そのような実体験をしていると、なんでも仮想化してしまえば便利ではないか、という考えを抱くようになっても不思議ではない。実際にやってみると、それでうまくいってしまうようだ。
秘密鍵を保管する HSM(ハードウェアセキュリティモジュール)は、従来コンピュータに直接接続されたスマートカード(ハードウェア)に保管するしかなかった。現在は、クラウド化された HSM が利用できる。HSMを利用するプログラムは、HSMがどこにあっても関係なく操作できる。クラウド化された HSMは、 ユーザにとってハードウェアーを持っている必要はない。
弊社はソフトウェア保護ドングル( Matrix ) を扱っている。このドングルをクラウド化したものが vMatrix ( https://www.ribig.co.jp/vmatrix ) である。プログラムは Matrix APIを呼びだすが、APIはローカル接続の Matrixドングルを操作するのではなく、クラウドコンピュータとやり取りをする。原理は HSM クラウド化と同じ。
クラウド化したソリューションは、通常は問題なく動作する。問題はネットワークやクラウドコンピュータにトラブルが発生したときだ。ネットワーク/クラウドコンピュータのトラブルは発生するものとして、どれだけの期間継続するのかが問題になる。クラウドとは違うが、以前、サーバをレンタルしていた。ある日突然停止。どんなに長くても数時間で復旧すると思っていたが、最終的に3日ほどつかえなかった。国内にあると思っていたデータセンターが国外にあり、データセンタの火災が原因だった。何が起こるのか分からない。
不測の事態への対応方法はいろいろあろうが、ローカル接続のハードウェアでも動作するようにしておくことが最終的な解決方法ではないかと思う。となると、ローカル接続のハードウェアを常時使った方が良いことになる。